『スタンフォードの自分を変える教室 』 ケリー・マクゴニガル (著), 神崎 朗子 (翻訳)を読みました。
本書の原文のタイトルは『The Willpower Instinct』です。
訳すと、意志の力の本能になります。
意志の力は、目標達成にはかかせないものです。
意志の力と対極にあるのが、衝動的な本能です。
いかに衝動的な本能をコントロールしながら、意志の力を最大限に発揮するのかを知りたくて本書を手に取りました。
本書は10章からなる、トレーニングプログラムの形となっています。
1章から順に読み解いていくことで、意志の力をてなづける方法を見につけていきたいと思います。
今回は2章「意志力の本能」についてまとめます。
意志の力も本能的なものである
意志の力とは、衝動的な反応を抑えるために働く理性的な行動だと多くの人はイメージします。
まさか、意志の力が本能にもとづいているとは誰も思わないでしょう。
しかし、最新の研究では、意志の力は、心理学的要素だけでなく、生理学的な要素も関わっていることがわかってきました。
つまり自制心などの意志の力は本能的な反応なのです。
それが休止・計画反応と呼ばれる生理的反応です。
衝動的な欲求を自覚したときに、それが生死に関わる緊急事態ではない場合は、それをすぐさまやろうとする衝動にストップをかけて、もう一度考えようとする反応です。
ゆっくりとした呼吸で意志の力が増大する
衝動的な欲求に対して、休止・計画反応を起こしたあとに、欲求に従うか、自制心を働かせるかどうかは、意志の力の保有量によると著者は解説します。
心拍変動というパラメータが、意志の力の保有量を表します。
心拍変動は呼吸を遅らせることで上昇します。
1分間の12回以下の呼吸、理想的には4〜6回の呼吸回数になると、心拍変動は上昇します。
また食べ物や、住む環境にも心拍変動は影響されると著者は説明しています。
Apple Watchでは心拍変動を計測、表示してくれます。
今までこの指標は見たことがなかったのすが、今後注意深く見ていきたいと思います。
意志の力を増やす要素
ゆっくりとした呼吸以外には、運動、睡眠、自然にふれることが、意志の力を高めると、著者は述べています。
睡眠が6時間未満になると、脳がエネルギー不足になって意志の力は弱くなります。
またストレスは一瞬で意志の力を奪うと著者は警告しています。
まとめ
意志の力は、すべて理性がで行っているわけではなく、生理的な反応も関わっていることがわかりました。
第1章では、意志の力を強化するために、選択の瞬間を意識する(記録する)こと、5分間の瞑想を継続すること、が薦められまた。
第2章では、それに加えて、運動、睡眠、自然にふれることがプラスされました。
自然にふれることというのはおもしろいです。
これは意志の力も人間の本能が関わっているということを気づかせてくれる知見です。
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