サンジブ・チョプラ (著), デビッド・フィッシャー (著), 『ハーバード医学教授が教える 健康の正解』を読みました。
著者は医学的に信頼性のある研究に基づいた結果のみから得られる、健康になるための「ビッグ5」を提唱しています。
その1つがビタミンDです。
ビタミンDは今までビタミンCやBやEなどとは違い、まったく目立った存在ではありませんでした。
それが今医学界で注目されているというのです。
ビタミンDには風邪から心臓疾患、がん、認知症などさまざまな疾患の予防効果があると考えられています。
『ハーバード医学教授が教える 健康の正解』ビタミンD濃度は心疾患と関連している
2012年に終了したコペンハーゲン市心臓研究は男女1万人以上を30年間追跡しました。
その分析で、ビタミンD濃度が最も低い群は、虚血性心疾患または心筋梗塞で死亡する確率が81%高かったということがわかりました。
2014年アメリカ心臓学会では、冠動脈造影検査を受ける患者の70%以上に、ビタミンD欠乏が見られるというデータが発表されました。
ビタミンD濃度は認知症発症や統合失調症と関連している
ビタミンDの受容体や、ビタミンDを処理する酵素が脳に存在することが確認されています。
まだメカニズムは解明されていないながらも、研究結果は脳神経機能とビタミンD濃度の関連を強く示唆しています。
エクスター大学は、アメリカ心血管健康調査の参加者約1600人から7年にわかって収集されたデータを検証しました。
ビタミンD濃度がやや低い参加者は正常者に比べて、認知症を発症するリスクが1.7倍で、著しく低い濃度の参加者は2.2倍となりました。
米国内分泌学会誌に発表された研究では、ビタミンDが欠乏している人は正常濃度の人に比べて、統合失調症と診断される確率が2倍だったと結論づけています。
風邪、インフルエンザに予防接種以上の効果
風邪にはビタミンCが効くといわれてきましたが、最近では、ビタミンDの方が予防効果が高いという研究報告が相次いでいます。
2010年日本で行われた、354人の子どもを対象に、風邪とインフルエンザの予防効果に対する、二重盲検ランダム化比較試験を行った研究結果があります。
予防接種を受けた子どもはリスクが10%低下したのに対して、1日あたり1,200IUのビタミンDを摂取した子どもは、風邪とインフルエンザの罹患率が50%以上低下しました。
コロラド大学では成人と若者1万9000人を6年にわたり収集したデータを分析しました。
ビタミンD濃度が低い群は、正常または高い群に比べて、呼吸器感染症になる確率が36%高たったという結果が出たのです。
毎日20〜30分日に当たる
ビタミンDは食事から摂ることもできます。
そもそもビタミンDがビタミンに分類されたのは、この理由からです。
しかし、食事から必要量をコンスタントに得ることは難しいと著者は解説します。
ビタミンDは25-ヒドロキシビタミンDという項目で検査することができます。
しかし、どれくらいの量が必要かという適正レベルについては、現在研究中のため定まっていません。
くる病の予防のためには100IUが必要で、最近までそれが1日の推奨摂取量でした。
しかし、アメリカ小児科学会は、それを引き上げ、「すべての子どもに対し生後数日以内に400IU/日の投与を開始すべき」としました。
NIHは、こどもから71歳までの成人は600IU/日、それ以降は800IU/日で十分とし、上限を4,000IUとしています。
著者は、このようなレベルのビタミンDを取り入れる最高の手段は、日光に当たることだと強調します。
目安として、影が自分の身長より短い時間帯に、夏は20分間、冬は30分間、日焼け止めを塗らずに屋外で過ごすことで、その人にあった必要量のビタミンDが体内で生成されます。
ビタミンDは食事からの量では不足するという現実を踏まえれば、日光に当たる時間が20分に満たない場合は、サプリメントで摂取するしかありません。
著者は、毎日4,000IUのビタミンD3のサプリメントを摂取しているそうです。
まとめ
本書を読む前から、ブログ「パレオな男の記事」でビタミンDの有用性をチェックしていていました。
一時的にサプリメントも試してみたのですが、あまり効果を感じることができず、今はやめています。
まずは日光にあたることを最優先としながらも、今は様々な種類のサプリメントが出ているようなので、各種ビタミンDサプリメントをいろいろと検討して試していこうと思います。
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