ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現 単行本 野口 悠紀雄  (著) 【ブックレビュー】

僕は野口悠紀雄氏の『仮想通貨革命』を読んで、初めてブロックチェーンの仕組みを知りました。

野口氏は、『仮想通貨革命』の中で、ビットコインよりも、むしろブロックチェーンという技術の大きな可能性について解説しています。

野口氏はブロックチェーンは、インターネットが起こしたのと同じような革命を起こす、と述べています。

インターネットは情報のやり取りを安価で短時間に行うことを可能にしましたが、何が正しいデータであるかを証明することができません。

正しいデータであることを証明するためには、大きな組織が必要となります。

インターネットで社会を完全にフラットにすることができなかったのは、それが理由です。

ところが、ブロックチェーンは組織に頼らずに、何が正しいかを立証することを可能にしたのです。

これにより、組織の力に頼らず、人々が直接に経済的やり取りを行う社会が実現すると、野口氏は強調します。

本書を読んで、ブロックチェーンのもたらす大きな可能性を感じることができました。

しかし、現在銀行や、政府など、管理主体がブロックチェーンの技術を導入しようという動きが出てきています。

野口氏は今後、管理者がいるブロックチェーンと、ビットコインに実装された本来のブロックチェーンのせめぎ合いが始まっていると解説しています。

巨大企業に支配される世界に終止符を打つ

インターネットは、AGFA(Apple,Google,Facebook,Amazon)という巨大企業を生み出しました。

インターネットで情報のやり取りはフラットになりましたが、経済的にはフラットにならなかったのです。

野口氏は、インターネットでは経済的な価値を簡単に送ることができないことが、大組織を生み出したと解説します。

しかし、ブロックチェーンはそれを可能にし、零細企業も個人も、資金調達や事業を展開でき、第三者を介さず、直接取引が可能になります。

IT革命はブロックチェーンによって完成されるのです。

プライベートブロックチェーンは、ブロックチェーンとは違うもの

いくつかの銀行がブロックチェーンの導入を進めようとしています。

ブロックチェーンを使うことで、従来のシステムよりコストが圧倒的に削減できるからです。

しかし、銀行が進めようとしているブロックチェーンは、プライベートブロックチェーンと呼ばれるもので、本来のブロックチェーンの性質とは似て非なるものです。

銀行という管理者がいて、P2Pのノード(ネットワークを構成するコンピューターのこと)に自由に参加できない、閉じたシステムなのです。

ブロックチェーンが革命を起こしうる理由は、管理者が不要で、データが正しいことを立証できるという特性にあります。

プライベートブロックチェーンでは、その特性を持ち得ないので、単なるコスト削減というメリットしたもたらさない可能性が高くなります。

本来のブロックチェーンは、銀行が進めているプライベートブロックチェーンと区別するため、パブリックブロックチェーンと呼ばれるようになりました。

巨大企業とブロックチェーンのせめぎ合い

銀行や巨大企業がプライベートブロックチェーンを導入して、コストの削減を図り、ますます大企業の支配力が強まる可能性があります。

政府が仮想通貨を発行するという動きさえ見られます。

現実的には、プライベート、パブリックのどちらかが一方的に発展するのではなく、両者が共存することが十分に考えられるでしょう。

しかし、野口氏は、最終的には、オープンな仕組みの方が技術革新が進み、パブリックブロックチェーンが優位になるだろうという見方をしています。

まとめ

本書を読んで、ブロックチェーンの技術の本質が理解できました。

それは、第三者を信用せずとも、正しいデータをやりとりできるということです。

つまり、初めて、管理者の仲介なしに、インターネット上で経済的な価値のやり取りが可能になったのです。

それによって実現される世界は、革命的なものになります。

まだ、僕は具体的にはイメージできませんが、銀行や大企業が不要になると考えただけでも、大きなパラダイムシフトなのだと感じます。

本書は膨大な事例が紹介されており、一読だけでは全容を把握するのは困難です。

常に手元に置いて、参照していきたいと思います。