酒好き医師が教える 最高の飲み方【レビュー】 お酒とのつき合い方を科学的に学ぶことができた

『酒好き医師が教える 最高の飲み方 太らない、翌日に残らない、病気にならない』 葉石 かおり  (著),‎ 浅部 伸一 (監修)を読みました。

会社員を辞めて、自宅で仕事をするようになってから、飲んだ翌日に、集中力とやる気が低下してしまうことに、問題を感じています。

会社に勤めていた頃は、営業部門でありデスクワークではなかったので、酒が残っていて気持ちが悪かろうが、動いているうちに抜けてきて、いつも通り仕事をこなすことができていました。

しかし、フリーになってからはずっとデスクワークなので、酒が残っていると、もろに仕事の能率が下がってしまいます。

フリーのブロガーやライターのブログには、そういった影響をなくすため、断酒をしたという記事をたびたび見かけます。

断酒も考えましたが、思いとどまりました。やはり、飲み会ではみんなと一緒にお酒を楽しみたい気持ちが強いし、何かを達成したときには祝杯をあげたいです。

翌日に残さずに酒を楽しめる方法があるか、そして酒が健康に与える影響を学ぶため、本書を読みました。

酒好き医師が教える 最高の飲み方 純アルコール量とは

本書では、酒量の影響を、飲んだ量を用いるのではなく、飲んだ酒に含まれる純アルコール量という指標を用いて解説しています。

これによって、酒の種類によらず、正確な測定ができます。

以下の計算式で求めることができます。

純アルコール量=(アルコール度数÷100)×(飲んだ量ml)×0.8

僕が好きな、「ストロングゼロ」の350ml缶は以下のアルコール量になります。

(9÷100)×350ml×0.8=25.2g

ちなみに日本酒1合の純アルコール量は以下です。

(15 ÷100)×180ml×0.8=21.6g

日本酒1合より、ストロングゼロの方が、純アルコール量が多いというのは意外でした。

1時間にアルコールを処理できる量は意外に少ない

人が1時間に処理できる純アルコール量は「体重×0.1」gです。肝臓の大きさと体重はだいたい比例するので、体重が指標になっています。

体重65kgの僕が処理できる純アルコール量は6.5gで、ストロングゼロ1缶を処理するのに4時間かかる計算です。

もし3缶飲んだら、処理に10時間かかり、翌朝まで残るのは当然の結果です。

ストロングゼロのように、飲みやすくてアルコール度数の強い酒は、短時間で飲めてしまうため、注意が必要であることがわかりました。特に、喉が渇いているときに飲むと、一気に飲めてしまうので危険です。

二日酔いを防ぐポイントは

二日酔いを防ぐポイントは、アルコール血中濃度を急激に上げないことです。

なるべく、先ほどの1時間で処理できるアルコール量を超えないように、ゆっくりと飲むべきです。

たくさんの種類の酒を飲む、ちゃんぽんは、アルコール量がわかりづらくなるのと、種類を変えることで気分がリセットされて、ついつい飲む量が増えてしまうので、注意が必要です。

アルコールは腸から95%が吸収されます。

胃でできるだけ長くアルコールを滞留させておくことで、急激にアルコールの濃度が上昇するのを防ぐことができます。

胃にアルコールを長く留めておくためには、空き腹で飲まないことが重要です。そして、油ものを先に食べておくことが効果的です。

飲酒と健康の関係

本書では、酒の健康の影響を、国立がんセンターの多目的コホート研究を紹介しています。

コホート研究とは、ある対象に暴露された集団と暴露されていない集団にわけて、その経過を追跡していく研究です。

国立がんセンターは、14万人を対象に、生活習慣に関するアンケートを10年間にわたって行った結果から、そのデータを分析して、飲酒の健康への影響を分析しています。

これらのデータから読み取れることは以下です。

  • 飲酒量は、1週間150g未満に抑えるのが望ましい、週に150g未満なら毎日飲んでも健康への影響は少ない
  • 1週間に150g以上300g未満なら、休肝日を設けるべきである
  • 1週間に300g以上なら、がんの発生率、死亡率のリスクが上昇する、休肝日を設けるべきである
  • 1週間に飲む量が450g以上なら、がんの発生率、死亡率のリスクはさらに上昇し、休肝日を設けても、リスクは低下しない

飲酒とがんの関係

がんの発生率は、時々飲む群を1とすると、週に300g以上のアルコール量で1.4倍、週に450g以上で1.6倍になるという結果が出ています。

[relationlink]飲酒とがん全体の発生率との関係について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ[/relationlink]

飲酒と循環器疾患の関係

この結果は意外です。

飲酒は脳卒中のリスクを増加させるのですが、虚血性心疾患のリスクを低下させるのです。しかし、脳卒中と心疾患を合わせると、リスクは低下するわけではないので、注意が必要です。

[relationlink]飲酒と循環器疾患発症との関連への社会的な支えの影響 | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ[/relationlink]

休肝日と死亡率の関係

週300g以上飲む群では、毎日飲む群は、休肝日がある群に比べて死亡率は1.5倍、週450g以上では毎日飲む群は1.8倍になっています。

[relationlink]飲酒パターンと総死亡との関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ[/relationlink]

酒好き医師が教える最高の飲み方 まとめ

本書で、アルコールの体への影響を学ぶことができ、酒との付き合い方を見直すことができました。

著者は、以下の山口県旭酒造の会長の言葉を紹介しています。

「酒は飲むものではなく、味わうもの」

酒の製法をもっと勉強すれば、酒の本来の味が理解できるようになり、適量を味わって楽しむことができると思います。