ケトン食ががんを消す【レビュー】 古川 健司 (著)

『ケトン食ががんを消す』を読みました。

ケトン食とは、低炭水化物、高タンパク、高脂肪の食事のことです。

一般的に普及している糖質制限食やロカボ食よりもっと糖質の割合をかなり低くした内容になります。

僕は以前より江部康司氏の著書から、糖質制限食が健康に良いと学んで、実施しています。

きちんと糖質制限食をやるようになってから、すぐに体重が3kgほど減少し、その後もリバウンドせず安定しています。

血液検査数値も異常はなく、糖質制限食の効果を実感しています。

今回、糖質制限食の発展系であるケトン食が、がん治療に効果があるという内容が興味を引き、手に取ってみました。

ケトン食ががんを消す 古川 健司 (著) 【ブックレビュー】

ケトン体の抗がん作用

ケトン体は体内のブドウ糖が切れたときに、体内にある脂肪を分解してできるエネルギー源です。

日常的に糖質をふんだんに取っている現代人にとっては、ケトン体はあくまでも飢餓時の緊急用エネルギーです。

ケトン体には抗がん作用があることがわかっています。

正常細胞はケトン体をエネルギーとすることができますが、がん細胞はケトン体をエネルギーとして使うことができません。

そのため、がん患者のエネルギー源をブドウ糖からケトン体に切り替えることで、がん細胞を死滅させ、分裂を抑制することが可能となります。

ケトーシスとケトアシドーシスの違い

糖尿病患者において、インスリン作用の欠乏が原因でケトン体が上昇し、高血糖・高脂肪酸血症となる「ケトアシドーシス」という病態があります。

これは意識障害、昏睡といった症状を引き起こし早急な治療が必要となります。

そのためケトン体が上昇することは危険であるという説が広まってきました。

今では、「ケトアシドーシス」はインスリン作用不足がないと起こらないとわかっています。

インスリンがきちんと作用していれば、単にケトン体が高値の「ケトーシス」となり、それは治療が必要な状態ではありません。

胎児はケトン体で生きている

一般成人のケトン体の基準値は28〜120μM/Lです。

一方、胎児のケトン体は平均で1600μM/L以上もあることがわかっています。

胎児の細胞分裂のスピードはがん細胞のそれに匹敵すると言われています。

著者は、がん治療も胎児の新生細胞と同じだと述べています。

つまり細胞のリセットです。

総ケトン体指数が一定以上の数値になるとがんが消える

がん治療では、ケトン体が多く出れば出るほど、がん細胞がよりスムーズに正常細胞に置き換えられる傾向があるとわかっています。

著者は、完全寛解に至るバロメーターとして総ケトン体指数が1000μM/Lという値を提唱しています。

実際に大腸がんのステージⅣのケトン食実施患者の半年間の経過観察では、総ケトン体指数が1000以上となった患者は、5例が完全寛解になっています。

ケトン食ががんを消す まとめ

著者が提唱する免疫栄養ケトン食が、がん治療に大きな効果をもたらすことを、実際の症例のデータを見ることで強く理解することができました。

もともとは糖尿病の治療として始まった糖質制限食は、がん治療にも効果を発揮するのです。

そうであれば、がんを予防する食生活として、糖質制限食を継続していきたいと思います。

人々が糖質を多量に食べるようになったのは人類の歴史から考えるとごく最近のことです。

ブドウ糖ではなく、ケトン体をエネルギーとすることが、人類本来の体に備わったシステムなのではないかと改めて思いました。