書いて鍛えて強くなる! 原田式メンタル教育【レビュー】原田隆史 著

原田隆史先生の新刊 『原田式メンタル教育』を読みました。

本書は、2003年10月に発刊された『カリスマ体育教師の常勝教育』を現代版に大幅に加筆、修正した書籍です。

原田隆史先生が松虫中学校の奇跡を成し遂げた経緯が詳細に書かれています。

素質や才能で選抜されたわけではない普通の中学生たちが、7年連続で13回もの日本一を成し遂げてしまうというストーリーは、フィクションかと思ってしまうほどの驚きを感じます。

その秘訣は、「書いて書いて書きまくる」目標設定用紙と日誌にあります。

それを体系化したのが「原田メソッド」です。

中学生だけでなく、大人にももちろん大きな効果がある方法です。本書を読んで改めて気づいた点を5つまとめます。

原田式メンタル教育 目標は幅を持たせる

原田式の目標の立て方は「最高」と「最低」と「中間」の3段階の数値目標を立てた上で、その幅(ゾーン)の中から目指す目標を立てます。

自分の目標の幅(ゾーン)を知ることで、自分にとって適切な数値目標が得られます

Googleが行っている目標管理のOKR(Objective Key Result)とよく似ています。

OKRでは、目標達成度を数値化して、最高の目標に対して達成度0.6で達成と見なします。

これはまさに目標を数値化して幅を持たせる考え方です。

私は、この幅を持った数値目標を立てることで、高すぎず、低すぎず、適切な目標(ストレッチゴール)が立てられるようになり、なおかつ達成しやすくなりました。

タイミングイズマネーとくじ引き理論

くじ引き理論とは、当たりくじを教えてもらったら今すぐ引くということです。

タイミングイズマネーも同じことをいっています。

いまやるのが最適という考え方です。

実際は当たりくじを教えてもらっても、それを引かない人がほとんどだと原田隆史先生は述べています。

原田先生は、練習メニューについて聞きにきた同業の指導者たちには、隠すことなくすべてを教えたそうです。

教えてもらった内容は特別目新しいものではなかったため、聞いた人は、日本一の学校なのだから本当はもっとすごい秘訣があるに違いないと勝手に想像して、実際に教えてもらった通りに実行する人は少数だったそうです。

もちろん、愚直に実行した指導者は成果を出したそうです。

割れ窓理論と心のすさみ

原田隆史先生は、荒れていた松虫中学校に赴任した当初、態度教育を徹底しました。

最初は、体罰だと、保護者たちから猛烈な批判を受けたそうです。

しかし原田隆史先生には信念があり、それを中学校全体に定着させて、落ち着いた雰囲気の学校に変えました。

原田メソッドには、独特の5つの「心づくり指導」があり、その中の一つに「心をきれいにする」があります。

いくらいいノウハウ、スキルがあっても、心がすさんでいては、パフォーマンスは上がりません。

この裏付けには「割れ窓理論」があります。

犯罪学者のジョージ・ケリング博士は、たった1枚の割れた窓ガラスでも、人の心をすさませるものを放置すると、街全体が荒れて犯罪が増えると結論づけました。

少しだけ窓ガラスの割れていた車を1台放置していたら、次の日には周りの車全ての窓ガラスが割られましたが、一方、窓ガラスの割れていない車を放置していても、周りの車に変化はなかったという実験結果があります。

1980年代凶悪犯罪が多発していたニューヨークでは、ジュリアーニ市長がこの「割れ窓理論」を取り入れて、ニューヨークの殺人事件発生件数は7年間で67パーセント減少したそうです。

何を×どんな心で

メンタルトレーニングの「ポジティブシンキング」の考え方から、原田隆史先生は「パフォーマンスの方程式」を提唱しています。

パフォーマンス=何を×どんな心(気持ち)で

態度教育は、なんの裏づけも説明せずいきなりやろうとすると抵抗されるでしょう。

しかし、「パフォーマンスの方程式」や「割れ窓理論」を頭で理解してもらえれば実行してもらいやすくなります。

練習は時間内でやり切る

松虫中学校の練習は、回数ではなく、時間を決めていました。

選手のレベルは様々ですが、その時間内にそれぞれがベストを尽くすのてす。

この練習方法によって、一人一人が適正な回数をこなすことができます。そして全体として決まった時間で練習を終えることができます。

私は現在タバタ式という20秒で全力のトレーニングを繰り返すインターバルトレーニングを取り入れています。

この方法は、短時間で終えることができ、調子のいい日、悪い日で回数が調整できて、続けやすいトレーニング方法です。

時間を決めて、その中で全力でやり切るというのは、回数を目指して長時間の練習を行うことに比べてはるかに効率的です。

原田式メンタル教育 まとめ

松虫中学校での原田隆史先生の活動のリアルが描かれていて、原田メソッドの原点がわかる本です。

私は2017年に原田メソッド認定パートナーとなり、2018年から自主セミナーを開催して原田メソッドを伝えています。

原田メソッドは、書くことでセルフコーチングができるツールがあり、内容が体系化されていることで、個人や組織に伝えやすいメソッドです。

中学生だけでなく、企業、プロスポーツの世界で実績が出ていることから、安心して取り組めるメソッドです。

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