卓球でサービスがラリーに与える影響は、
- レシーブの得点率を下げること
- 3球目の得点率をそれ以降のラリーの得点率と同等までに上げること
の2つであることがわかりました。
『卓球においてサービスがラリーに与える影響の定量化 玉城, 将; 吉田, 和人』
2012年ロンドン五輪 世界ランク50位以内男子選手同士31試合を分析した論文での結論です。
トップ選手同士での試合では、サービスは、それ自体で得点するよりも、3球目で得点しやすい状況を作ることに主眼が置かれている、ということがデータで理解することができました。
卓球のサービスがラリーに与える影響 「サービスの得点率は著しく低い」
著者は、サービス(打球回数1)の得点率は、それ以降のラリーでの得点率と比較して、著しく低いと報告しています。
たしかに、実際のデータでは、10.7%となっていて、4球目以降の得点率(20%程度)の半分くらいであることがわかります。
著者は、これはルールの影響であると述べています。
卓球のサービスは、以下の2つの制約があります。
- 第一バウンドを自コートに入れる (相手に時間を与える)
- インパクトを相手に見せる(相手に空間、回転の情報を与える)
常に卓球をやっていると、当たり前に感じますが、テニスや、バレーと比べると、確かに制約は多いです。
また、著者は、卓球のサービスの失点率が低いことも、特徴としてあげています。
他の競技では、サービスミスのリスクをおかしてでも、サービスでの得点を狙うという戦略があります。
卓球では、その戦略はとりません。
卓球のサービスがラリーに与える影響「レシーブの得点率を下げる」
データでは、レシーブ(打球回数2)の得点率は17.6%となっています。
これは、4球目以降の得点率(20%程度)より、若干低くなっています。
これは、サービスの影響です。
卓球のサービスは、制約が大きいものの、相手のレシーブの得点率を下げる効果があります。
著者は、その原因について論文で述べてはいません。
ぼくは、それは、サービスを低く、短く出すことで達成できていると考えます。
卓球のサービスがラリーに与える影響「3球目の得点率を上げる」
データでは、3球目(打球回数3)の得点率は、25.0%となっており、4球目以降の得点率より高くなっています。
著者は、回転を駆使することで、その効果を出していると結論づけています。
たしかに、卓球のサービスの回転は、レシーブのコースと種類を限定する効果があります。
まとめ
トッププレイヤー同士の試合での、サービスがラリーに与える影響を、データから理解することができました。
サービスは、それ自体で得点する率はその他のラリーに比べてかなり低く、レシーブの得点率を下げること、3球目の得点率を上げること、の2点に貢献していることがわかりました。
アマチュアの試合では、今回のデータよりは、サービスでの得点や、レシーブでの得点がもっと多くなりそうな気がします。
今回のデータから、サービスは、エースを狙うよりは、レシーブで得点されないこと、3球目の攻撃を有利にすること、に重点を置くべきとわかりました。