落合 陽一 (著)『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書』 を読みました。
人生100年時代の生き方を著したベストセラー『ライフ・シフト』で、著者は100年時代を生きるためには、無形資産の蓄積が必要で、自らに対する教育がますます重要になっていくと述べています。(レビュー)
では何を学んでいけばいいののでしょうか。
AI、ロボットの進化で、今まで価値のあったスキルや知識は、どんどん安いコストでできるようになっていきます。
落合陽一氏は、0歳から100歳までが学ぶ必要のある教育として、STEAM教育を詳しく紹介しています。
STEAM分野について、興味を持って、学んでいくことが、あらゆる年代の人にとって必要だということがわかりました。
印象に残った点をまとめます。
突出した才能のない人が行きていく道は
落合氏は、突出した才能や、偏った能力がなくても、人より少し得意でこだわりのある分野が複数あれば、それを組み合わせて、組織に属さず生きていけると説明しています。
飛び抜けた才能がなくても、好きなことをいろいろやって、その中でリスクや、コストの低いものを取り入れていくのです。
インターネットを使ったテクノロジーによって、事業を運営するためのコストはどんどん下がっているので、個人が好きなこと、得意なことで活躍できる場がどんどん増えているのです。
それぞれのことは誰かがやっていることでも、組み合わせることによってオンリーワンになれる可能性はまだまだあります。
お金はパラメータにすぎない
組織に所属して給料をもらわないと食べていけないという考え方は、近代の弊害だと落合氏は強調します。
今の労働とお金はリンクしていないにもかかわらず、それが関係があるかのように信じ込まされていると、落合氏はこの弊害について分析しています。
お金は多くの人が価値があると思いこんでいるから、社会的に価値があるとされているだけなのです。
労働の価値は、お金というパラメータだけでは表すことのできない側面もあります。
労働に、金銭を超えた動機を見いだせる人は、人材としての価値が高くなると落合氏は述べています。
STEAM教育とは
STEAMの略は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(美術)、 Mathematics(数学) です。
2000年代にアメリカで始まった教育がSTEM教育で、2013年にオバマ大統領がSTEM教育を支援すると演説で語ったことで、広く知れ渡るようになりました。
落合氏はSTEMにArtを加えたSTEAM教育を提唱しています。
STEAMを学ぶためき4つの要素とは
STEAMを学ぶ上で大切な要素を落合氏は4つあげています。
それは、言語、物理、数学、アートです。
言語
言語については、アカデミックライティングと呼ばれる、サイエンスを可能とする文章を書けるようになることを落合氏は提唱しています。
それは、一言で言うと、他人がわかる文章を書くということです。
日本語というのは、曖昧な部分を許容している言語です。
曖昧さを残した文章を書いてしまうと、読み手によって違う意味に取られる可能性があります。
自分が伝えたいことを、わかりやすく誤解されないように伝える文章を書くことを学ばなければなりません。
このことは、その他3つの要素すべてに影響をするとても重要なことなのです。
物理
身近な自然現象がなぜ起こるのかを問うのが物理です。
身近なことに疑問を向け続けていると、それらが物理法則に関係していることに気づくようになります。
物理は日常生活にこそあるのです。
数学
データサイエンス、コンピュータ・サイエンスを学ぶために、数学はとても大切な基礎であると落合氏は強調します。
数学には、解析的思考と統計的思考の2つがあります。
既知の関数や、定数である問題を解けないかと考えるのが、解析的思考です。
あるデータの集まりから、関係性を見つけることが統計的思考です。
アート
アートは、他の3つの要素に比べて、感覚的であり、直感的です。
学校で習うアートは、絵を描く、作品を創るなどの技能に偏よりすぎていると落合氏は分析します。
アートを学ぶためには、まず鑑賞力が必要になると落合氏は述べています。
アートを鑑賞するとき、前提知識や、正解を求める姿勢は不要です。
まっさらな心で自分なりのコンテキスト(文脈)で感じ、それを言葉にするのです。
まとめ
本書を読んで、行きている限り学び続けなければならない、そして学び始めるのに遅すぎることはないということを再認識しました。
そしてSTEAMを形作る4要素に従って学ぶのがいいということがわかりました。
4要素の根幹を占めるのが、言語であり、言語を中心として、物理、数学を学ぶことかできます。
そしてアートを学ぶために、鑑賞が必要です。
ぼくは今までの人生で、アートを鑑賞するという経験がほとんどありませんでした。
アートを鑑賞するのは、まっさらな心がいいということです。
ちょうどぼくには何の前提知識もありませんので、まずはたくさんのアートを鑑賞してみたいと思います。