『コレステロールは高いほうが病気にならない』【レビュー】コレステロールを下げる必要はないことがわかった

浜崎 智仁 (著)『コレステロールは高いほうが病気にならない』を読みました。

江部康二氏の学説に共鳴して、2015年より糖質制限をしています。

糖質制限食をすると、炭水化物を摂らない代わりに、カロリー源として、タンパク質、脂質を多く摂るようになります。

そのため、動物性のタンパク質、脂質を以前より多く摂取するようになりました。

動物性の脂肪を多く摂取することは、以前は肥満、生活習慣病の原因となると、危険視されていました。

また、卵はコレステロールを多く含むので、動脈硬化の原因になるので食べ過ぎてはいけないとされていました。

糖質制限食では、卵や、動物性タンパク、脂肪は積極的に食べるべきとされています。

ぼくは以前、玄米菜食が正しい食生活だと思い、実践していたこともあるため、動物性食品ばかりを捕りすぎるのはどうかと思っていました。

糖質制限に対する批判には、動物性食品の摂りすぎを指摘する意見が多くあります。

卵や、動物性脂肪を多く摂取しても問題ないということを、理論的に知って、自分なりの意見を確立しておきたいと思い、本書を読みました。

『コレステロールは高いほうが病気にならない』コレステロール悪玉説の歴史

世界で最初にコレステロール悪玉説が浮上したのはおよそ90年前のことです。

1913年にロシアの学者がうさぎにコレステロールの多い餌を与えたところ、動脈硬化が起こったというのが始まりです。

このあと、草食動物は 大量の脂肪を消化できないということがわかっています。

そして、1949年に開始されたアメリカの framingham study (フラミンガム研究) という大規模な疫学調査で、コレステロール値が高い人ほど心筋梗塞のリスクが高いという結果が得られたことからコレステロール悪玉説は一気に世界に広まりました。

そのあと、この統計には遺伝病の人が多く含まれていたことがわかっています。

悪玉コレステロールとは

体内には、コレステロールの運び屋が2種類あります。

LDL(定比重リポタンパク)と、HDL(高比重リポタンパク)です。

LDLは肝臓から全身へコレステロールを運搬し、HDLは逆に全身で余ったコレステロールを回収して肝臓に戻します。

LDLコレステロールが活性酸素の攻撃を受けると、酸化型の LDLコレステロールに変身します。

この酸化型LDLコレステロールこそ真の悪玉で、これが増えると血管壁にどんどん蓄積されて動脈硬化を進めていくといわれています。

つまり、LDLが少なく、HDLが多いほどいいということになります。

しかし、浜崎氏はコレステロールは動脈硬化の原因ではないと主張します。

浜崎氏は心筋梗塞の発生の過程を次のように説明します。

動脈硬化が進むと血管壁に傷ができやすくなり、それを修復するために血小板が集まってきて傷口にベタベタと張り付いて血管の穴を細くしていきます。

この繰り返しがやがて血管孔を塞いでしまい心筋梗塞の発生に至るのです。

血小板が傷口に着くときにいろいろな危険物質が放出されることで動脈硬化が進みます。

血管が十分細くなっていない時点でもこの危険物質が血管の攣縮を起こして血液を途絶えさせ心筋梗塞になる場合があるし、同時に致命的な不整脈が起こることもあります。

いずれにしても血液中にコレステロールが増えることはそれほど動脈硬化に関与していないと、浜崎氏は断定しています。

コレステロール値を下げても心筋梗塞は減らない

浜崎氏は、コレステロール値が高い方が死亡率が低いという、数多くの日本人の疫学データを紹介しています。

そしてその結論は日本脂質栄養学会の「長寿のためのコレステロール ガイドライン」に詳しくまとめられています。

また、これまで多く使用されてきたスタチンというコレステロール低下薬によって、日本においては心筋梗塞はほとんど減ってはいないということも、併せて解説しています。

浜崎氏は、スタチンは副作用の少ない薬なので、必要のない人にまで処方されてきたと分析しています。

スタチンが必要なのは、家族性高コレステロール血症の人、心筋梗塞を起こした履歴のある人だけだと浜崎氏は強調します。

まとめ

本書を読んで、あらためてコレステロールについて勉強し直しました。

少なくとも遺伝疾患を持つ人、または心筋梗塞の履歴がある人以外は、コレステロール値は高い方が望ましいということがわかりました。

そのため、コレステロールを含む食品の摂取を減らしたり、薬で下げる必要はないのです。

実際に、最近厚労省は食事によるコレステロール摂取基準値を撤廃しています。

しかし、日本動脈硬化学会は、健康な人では食事によってコレステロール値は変動しないと認めながらも、LDLコレステロール値が高い人は従来どおり摂取制限が必要としています。

ぼくは糖質制限を始めてから、HDLコレステロール、LDLコレステロールともに上昇しました。

同時に中性脂肪は大きく低下していることから、食品に含まれる脂質が影響しているのではなく、糖質制限実施による体質の変化によるものと考えています。

ぼくのLDLコレステロールは150mg/dl程度となっていて、日本動脈硬化学会での基準値140mg/dlを上回っています。

日本脂質栄養学会の学説や、糖質制限医療推進協会の見解などを信頼して、このままの食生活を維持していこうと思っています。

食生活をどうするかについてのレビューは次ページへ。