「やる気」とはやる前ではなく、やってから湧いてくる

「やる気」とは便利な言葉です。

「やる気」がないから、という理由で、自分でやると決めたことでも、簡単に先送りができます。

世の中には、やる気がなくても行動ができる人と、やる気に行動を左右される人がいます。

ぼくは圧倒的に後者です。

会社員を辞めて独立してから、このやる気が出ない問題と常に戦ってきました。

会社や組織で仕事をするときは、他者から与えられた課題があるので、やる気に関わらず行動ができます。

やらなければならない仕事は、やる気など確認している余裕はありません。

しかし1人で仕事をするには、自分で自分に行動を促さなくてはなりません。

ずっとそれが苦手で、独立してから2年間ずっと、やる気がないという理由で、やるべきことから逃げて時間をムダに使ってきました。

やる気は限りあるリソースからできている

やる気のもとを、気力と呼ぶことにしましょう。

心理学の研究結果によると、気力は有限な資源です。

心理学では気力を、認知資源、ウィルパワー、意志力、などと表現します。

1990年代にRoy BaumeisterとMark Muravenが提唱した自我消耗説は、自制や意志力といった認知資源には限りがあることを研究したものです。

つまり、気力というのは有限なもので、脳はその使用を著しく制限しているということなのです。

気力は朝起きてからの生活や仕事を通してどんどん消費されます。

また、自制的行動でも消耗することが研究結果でわかっています。

何かをすることだけでなく、何かを我慢することでも気力は消耗していくのです。

気力は前頭葉の働きによって供給され、使い切った気力は、睡眠で復活します。

そのため、午前中は気力は多く残っていて、午後から夜にかけて、気力の残りはどんどん少なくなっていきます。

ぼくはこの説を知ってから、やる気が出ないのは、気力がないからだと判断して、気力を復活させる術を模索してきました。

たとえば、仮眠、カフェイン、瞑想、運動などです。

いずれも気力を復活させるのですが、根本的な解決にはなりませんでした。

やる気があっても行動できない人

やる気のもととなる気力が充実しているのに、行動できない人がいます。

その理由を『できる人は感情の整理がうまい』(佐々木正悟 著)という本から知りました。

そういう人は2種類に分類されます。

  1. どうすればいいのかわからない
  2. 完璧主義

行動には見通しが必要です。

気力も充実しているのにやる気が起こらないのは、見通しが立っていないからです。

逆に見通しが立っていれば、気力ややる気がなくても行動できます。

トイレに行く、食事をするなどの生活習慣には、気力ややる気は必要ありません。

それは見通しが立っているからです。

完璧主義者は、ある程度の見通しは持っていますが、完璧にできる見通しが立たないとやってもムダと心にロックをかけています。

やる気に頼らず行動をする方法

やる気に頼らないためには、見通しを立てることです。

見通し立てるためには、やろうとしている仕事を細かい作業に分解することが有効です。

そうすれば、第一歩を踏み出すときに、やる気が必要なくなります。

そしてその一歩を完了すると、脳は小さいながらも快感を覚えます。

それに続く細かい作業を一つ一つ完了するたびに、見通しがはっきりしてきます。

そうすると、気持ちが充実してきて、楽しくなり、やる気が出てきます。

そうです、やる気は、やる前にあるのではなく、やれば出てくるのです。

まとめ

やる気が出ないというのは、気力を使用しないように、脳または、心がロックをかけている状態です。

気力は有限なリソースなので、気力が切れてしまうとやる気は起こりません。

また、気力は充分にあるのに、やる気が起きないときがあります。

それは、見通しが立っていないときです。

1つはどうすればいいのかわからないとき、2つ目は完璧主義です。

気力が充分あるはずなのに、やる気が起きないときは、心のロックをはずすために、とりあえずやってみることが有効です。

やってみることによって、見通しがはっきりして、心のロックが外れます。

心のロックが外れて、気力が使えるようになると、その行動は楽しくなり、集中力もアップして生産性が高まります。

ぼくはやる気がない理由は、気力がないからだと思いこんで、仮眠をしたり、コーヒーを利用したり、と生理的な原因のせいにしていました。

しかし、ぼくのやる気がないのは、完璧主義であることがわかりました。

その仕事をする前に、それを完了させるのだという意気込みをなくして、少しだけ前に進めるという気持ちに切り替えました。

つまりやる気を出すためには、まずはやってみることから始まるのです。

参考にした本