大櫛陽一氏は、糖質制限食をケトン体生成食(KetoGenic Diet 以下KGD)と呼んでいます。
本記事でも、KGDという表現に統一することにします。
KGD実施16名の脂質プロファイルの変化をまとめました。
KGDでは、当然のように空腹時血糖値、HbA1cは下がります。
またγGTPも激減しています。
本講演では脂質データの変化を中心に解説しました。
KGDのケトン体の基準値
KGDありとKDPなしのケトン体値をROC曲線で解析した結果、感度と特異度が最大になる値は、246.5μmol/Lでした。(基準値 26−122 μmol/L)
KGDが機能しているかどうかの指標は250μmol/Lだと言えます。
江部先生の2018年6月の値は704 μmol/Lでした。
ちなみに本日(2018/9/12)のぼくのケトン体値は300 μmol/Lでした。
2018年5月までは200 μmol/Lだったのが、2018年6月から300 μmol/Lになっています。
たまに脱線をしながらでも、KGD歴が長くなってくると、次第に上昇してくるようです。
このような指標があると、励みになってKGDへの意欲が高まりますね。
▲プレシジョンネオで測定したケトン体の値。(単位はmmol/L)
KGDでは92.5%のエネルギーを脂質から得ている
呼吸商はKGDでは0.724でした。
呼吸商とは「呼吸で放出した二酸化炭素(CO2)の体積/呼吸で吸収した酸素(O2)の体積」です。
原理的に脂質ですべてのエネルギーをまかなうと、呼吸商は0.7、糖質ですべてのエネルギーをまかなうと、呼吸商は1.0となります。
この計算によって、KGDでは92.5%のエネルギーを脂質から得ていることがわかりました。
一般的に糖質がないとエネルギー不足になると言われていますが、それは間違いであることがわかります。
KGDではLDLコレステロール、HDLコレステロールが高くなる
KGDのLDLコレステロール(以下 LDL-C)の平均値は177、HDLコレステロール以下(HDL-C)の平均値は66でした。
この値は、LDL-Cは健診では異常値となり、受診勧奨となります。
しかし、大櫛氏はLDL-Cが高いほど死亡率が低くなるというデータを示し、コレステロール仮説が誤りであったことを解説しました。
現に、アメリカではLDL-Cの精密検査値を190以上としており、低下目標値もありません。
江部氏のLDL-Cは144です。
ぼくのLDL-C値は、2015年126、2016年153、2017年151と、糖質制限の歴史とともに徐々に上昇しています。
その代わりにHDL-Cも上昇し、中性脂肪は低下しています。
江部氏によると、中性脂肪が60以下で、HDL-Cが70以上であれば 小粒子のLDLはあるはずがないのでLDL-Cが高くてもそれは善玉と考えていいそうです。
まとめ
本講演から、従来の、脂肪、コレステロールは悪者という考えを完全に改めていいと確信できました。
KGDを行って、ケトン体によるエネルギー比率を高めることが、がん、生活習慣病を防いで、健康を維持する最良の方法であることがわかりました。