江部康司の糖質制限革命【レビュー】 医療、健康、食、そして社会のパラダイムシフト

糖質制限食の第一人者として有名な江部康司先生の新刊『江部康司の糖質制限革命 医療、健康、食、そして社会のパラダイムシフト』を読みました。

今回は、なぜ糖質が人体にとって悪影響を及ぼすのか、という問いを持って読みました。

読み終えて、糖質制限がなぜ体によいのかをあらためて腹落ちさせることができ、自分でも今後さらに糖質制限食を正しく実践し、江部先生も実践するスーパー糖質制限食を継続していきたいと思いました。

自分自身で理解したことをまとめてみます。

江部康司の糖質制限革命 医療、健康、食、そして社会のパラダイムシフト 江部康司 著 【ブックレビュー】

そもそも糖質とは何か

炭水化物、糖質、糖類、これらが混同しやすい分類になります。

まず、炭水化物ですが、これは法的な分類では、たんぱく質、脂質、ミネラルのいずれにも属さない成分のことをいいます。

わかりやすくいうと炭水化物は糖質 + 食物繊維になります。

糖質とまぎらわしい呼び名である糖類とは、甘味のある天然物質で、単糖類と二糖類を指します。

糖質とは、糖類に加えて、甘味のないデンプンなどの多糖類、人工的に合成された甘味料やアルコールを加えたものになります。

そして血糖値を上げるのは糖質ということになります。

糖類ゼロという表示をよく見かけますが、糖類以外の糖質が含まれていれば、血糖値を上げることになります。

糖質制限は、血糖値を上げないための食生活なので、重視すべきは糖類ではなく、糖質です。

糖質ゼロとは

食品、飲料の「糖質ゼロ」という表記は法律でその基準が明記されており、100gまたは100mlあたりの糖質が0.5g未満となっています。

完全にゼロにするのは難しいのだと思いますが、ゼロとうたっているのに、実際はゼロではないんですね。

また、糖質オフという表記は注意です。

これは法律の基準がなく、メーカーが自主基準としているそうで、メーカーによっては100g中2.5gまではよしとしているそうです。

人工甘味料はどうなのか

甘味料は、糖類には含まれず、糖質に含まれます。

甘味料のうち、糖アルコールは天然にある物質で、食品に加えるときには人工的に合成しています。

具体的にはエリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなどです。

ガムの成分などでよく耳にする物質です。

糖アルコールはエリスリトール以外は、すべて砂糖の半分くらい血糖値を上昇させます。

人工甘味料は文字通り天然に存在しない甘味料です。

アメリカFDAと厚労省が安全性を認めている人工甘味料は、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、ネオテーム、アドバンテームの6種で、これらは血糖値を上昇させません。

高血糖がなぜ病気の原因になるのか

血糖値か高いと糖尿病になって、失明したり、透析になったりするというのは一般的にも知られています。

糖尿病の三大合併症とは、網膜症、腎症、神経障害で、これらはすべて細い血管の障害が原因です。

血管の障害の原因が高血糖です。

血糖が高いと血液が砂糖水のようにネバネバして血流が悪くなります。血中のブドウ糖は血液中のタンパク質と結合して血管の内皮にへばりついて動脈硬化の原因になります。

体内のタンパク質が糖と結合したものをAGEs(終末糖化産物)と呼びます。

AGEsは一度できるとなかなか消えずに体内に残ります。

AGEsは活性酸素の除去を妨害するため、酸化ストレスが増大します。酸化ストレスが増えると血管が傷つきやすくなり、血管が狭くなります。

酸化ストレスはがん、動脈硬化、アルツハイマー病などの現代病の元凶と言われています。

血管の障害を起こさないためには

血糖値が180mg/dlを超える血管の障害と起こる言われています。

140mg/dlを超えると血管の障害のリスクが増えると言われています。

1gの糖質摂取したとき、正常人では0.6mg/dl、糖尿病の人は3mg/dlの血糖値上昇が起こります。

茶碗一杯のご飯の糖質量は60gですので、糖尿病の人は空腹時の血糖値が正常値の100mg/dlであっても、300mg/dl近くまで血糖値が上昇し、血管障害が起こります。

正常人であっても、白飯のような精白された糖質を大量に摂取することは、血糖値を血管障害のリスクである140mg/dl付近まで上げる可能性があるので、気をつけなければなりません。

このような食後の高血糖を抑えるためには、今までは血糖を下げる薬や、インスリンの投与、食後に運動をするなどの方法が主流でした。

しかし、血糖値を上げる食物を摂らないこと、つまり糖質制限が最も効果的な方法であることが様々なデータから証明されてきています。

糖質は必須栄養素ではない

人間は、炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよく食べることが大切だと大多数の人が思っています。

そしてブドウ糖は脳や筋肉の活動に必要なエネルギーだから、積極的に摂る必要があると教わってきました。

でも科学的には、糖質は人間にとって必須の栄養素ではないことがわかっています。

糖質は外部から摂取しなくても体内で作り出すことができます。

また、脳はブドウ糖しかエネルギー源として使えないと言われてきましたが、これも誤りでケトン体を使うことができるとわかっています。

人間に糖質が必須ではないことは人類史が証明しており、人類が生まれて以来大半の時代は、糖質を食べずに生活してきたのです。

江部康司の糖質制限革命 まとめ

江部康司の糖質制限革命を読んで、糖質とは何か、血糖値が高いとなぜ病気になるかという疑問点を明らかにすることができました。

そして糖質制限食は糖尿病の治療、合併症の予防に絶大な効果があることがわかりました。

また正常人にとっても、食後血糖値を140mg/dl以上に上昇させない食生活を送ることで酸化ストレスを抑え、アンチエイジングが期待できます。

多くの人がダイエット目的で糖質制限を始めますが、この食生活は生活習慣病を予防し、医療費を抑制する社会的意義があります。

これから自信をもってスーパー糖質制限食を実践していきたいと思います。