糖質制限の継続は禁煙と似ている それはなぜか?

僕が禁煙をしてから5年以上経ちました。今ではタバコを吸いたいと思うことはまったくありません。

しかし禁煙してから半年くらいは、タバコのにおいを嗅いだり、今までタバコを吸っていたタイミングに遭遇すると、タバコが吸いたくて仕方ありませんでした。夢の中でもタバコを吸ってしまって、はっと起きたことかあります。

それを我慢し続けて、半年を過ぎると、吸いたくなる衝動がかなり減り、1年を過ぎると、その衝動はほぼなくなりました。

糖質制限もこの経過によく似ています。糖質制限を始めてから、半年くらいは、ご飯、麺、フライドポテトの欲望に逆らうことは非常に困難なことでした。

なぜ、糖質制限と禁煙が似ているのか、著書『炭水化物が人類を滅ぼす』で糖質制限ブームに火を付けた、夏井睦氏の説に従って紹介します。

高血糖もニコチンも脳は区別できない

禁煙はニコチン中毒からの脱却です。ニコチンを定期的に摂取しているときは、ニコチンが枯渇すると欠乏感から、次の1本が吸いたくなります。

僕は、1年間禁煙に成功したのに、1本だけもらいタバコをして、また喫煙が復活してしまった経験があります。1本のもらいタバコでも、ニコチンが枯渇したあとの欠乏感に打ち勝つことはできなかったのです。ニコチンは、どんなに強い意志を持っていても、勝てないような強い報酬を脳にもたらすということを身をもって経験しました。

ニコチンや、カフェイン、アルコール、コカインなど、依存性物質には下記の共通点があります。

  1. BBB(blood-brain barrier 血液脳関門)を通過できる
  2. 快楽中枢を刺激し、ドーパミンを放出させる
  3. 分解酵素を持たない(神経伝達物質との違い)

なんと、高血糖もこの3つの共通点を兼ね備えているのです。あえて高血糖と表現しているところがポイントです。

グルコースは脳のエネルギー源なので、BBBを通過しますが、通常濃度であれば脳のエネルギー源として消費され、快楽中枢の刺激はありません。ところが、高血糖になるとエネルギー源として消費されない分が残り、快楽中枢を刺激するようになるのです。

甘いものや、白いご飯がやめられないのは、ニコチンなどの依存性物質が脳に及ぼす働きと同じことが起こっているからなのです。

なぜ依存性物質が生まれたのか

これについても夏井氏の理論を紹介します。

ニコチン、カフェイン、コカイン、アヘンはすべて植物性アルカロイドです。これらは、もともと草食昆虫に対する防御物質です。

これらの物質は、生物が脳を獲得した時に存在しておらず、なぜかすべてBBBを通過したため、はからずも依存症を生み出しました。

高血糖という状態も、同様に人間が誕生して長い期間存在しませんでした。

人類の歴史は700万年と言われ、農耕を開始したのが1万年前です。そして、急激な高血糖を起こす精製穀物を食べたしたのは、200年前です。糖質制限の第一人者の江部医師によると、農耕開始前の人類では血糖値は一定に保たれていました。農耕開始後はその変動幅は2倍となり、精製穀物を食べ出してから3倍になりました。

血糖値の変動が、生活習慣病の元凶であると江部氏は警笛を鳴らしています。
僕はその理論に納得し、糖質制限を実施しています。

まとめ

精製された炭水化物による高血糖は、ニコチンなどの依存性物質と同様のメカニズムで、脳に強い報酬をもたらします。

ぼくが1本のもらいタバコから喫煙習慣を復活させたように、たった1回の高血糖が、高糖質食を復活させる恐れがあることを肝に銘じたいと思います。