お金2.0 新しい経済のルールと生き方 佐藤 航陽 (さとう かつあき) (著) 【ブックレビュー】

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そこで、佐藤航陽さんのインタビュー記事を見て、本書を知りました。


すぐにKindleで購入し、ある程度の時間をかけて読みました。

改めて、「お金」とは何か、「価値」とは何かを考えることができました。

最近、身近な知人が、たった1年前に購入した仮想通貨の価格が100倍以上に高騰したために、資産1億を超えるいわゆる「億り人」となっています。このような状況を見聞きするにつけ、これから「お金」は、価値がどんどん下がっていって、今までのように、「お金」さえあれば何とかなるというような、絶対的な存在ではなくなると感じるようになりました。

「お金」は、元々は価値をやり取りするための手段でした。それが、今の資本主義の世の中では、手段の目的化が起こり、「お金」が一番大事になっています。

そのため、多くの人々が、「お金」を得るために労働をし、老後に備えて多額の貯金をしています。

著者は、資本主義の欠点を補う考え方として、価値を軸として回る「価値主義」という枠組みを提案しています。

著者が提示する未来は、とてもワクワクするものであり、「お金」に対するネガティブなイメージを払拭させるものです。

この本から得た気づきを3点まとめます。

「お金」の価値は下がり続けている

労働で得た給与や、商売をして得た利益で、モノを買うという経済が、「消費経済(実体経済)」で、「お金」から「お金」を生み出す経済を、「資産経済(金融経済)」と呼びます。なんと、全体の「お金」の9割が資産経済に流れています。そして資産経済はますます膨らんでいます。一方で、モノが余りだしていて、消費経済は縮小に向かっています。そこで多くの金融マネーが行き先がなく滞留しています。

このように、資金調達がしやすい状況にあるため、相対的に「お金」の価値は下がり続けていると、著者は解説しています。逆に増やすことが難しい、信頼、時間、個性などの、お金では買えないものの価値が上昇しているのです。

資本主義から価値主義へ

資本主義では「お金」があまりにも強調されすぎてきたため、財務諸表で資産にならないものは、無価値のように扱われてきました。しかし、「お金」にならなくても、人々が価値があると思っているものはたくさんあります。逆に、誰も価値を感じないのに、「お金」を操るテクニックがあるために、大きな力を持っているものもあります。

このように「お金」は強くなりすぎて、価値を置き去りにしてきたため、それに疑問を感じる人が増えて、真逆の方に揺り戻しがきていると、著者は今の状況を表現しています。ITの進化によって、紙が情報のやり取りの主役の座から降りたように、「お金」が価値を媒体する唯一の手段であった独占が終わりつつあるのです。

価値をやり取りする手段の選択肢が増えると、人々は自分にとって最も便利な方法で価値のやり取りをするようになります。手段が多様化することによって、人々が注目するポイントが「お金」から、本来の「価値」に戻ります。価値を最大化することに注力しておけば、色々な方法で好きなタイミングで他の価値と交換できるようになっていくのです。「価値」とは商品のようなものであり、「お金」は商品の販売チャンネルの一つみたいなものになると著者は表現しています。

例として、著者は、ツイッターのフォロワーの数というのも、価値になると述べています。この場合は”他者からの注目”というのが価値です。何か事業をやりたいとと考えた場合、タイムラインで仲間を募り、すぐにクラウドファンディングで資金を集めることができます。

「お金」から解放される生き方

テクノロジーの進化により、大半の労働は機械によって自動化され、人間は「お金」や労働から解放されると著者は述べています。労働が必要なくなり、多くの人が失業するので、国はベーシックインカムのような制度を導入するようになります。または、グローバル企業が、公共サービスをほぼ無償で提供するようになり、必要最低限の生活は働かなくてもできるようになっていきます。

人間は生きていくために働くことも、「お金」を稼ぐことも必要なくなるのです。

人生の意義や目的とは、欠落・欲求不満から生まれると著者は述べています。しかし、あらゆるものが満たされた世界では、この人生の意義や目的こそが逆に「価値」になりつつあります。

ザッカーバーグは、

他人に目的を与えられる存在そのものの価値がどんどん上がっていく

と述べています。

著者はそれを受けて、内面的な価値が経済を動かすようになると解説しています。

金銭的なリターンを第一に考えるほど儲からなくなり、何かに熱中している人ほど結果的に利益を得られるようになるというのです。SNS、動画、常時接続の普及によって、人の熱量が「情報」として一瞬で伝播しやすい環境ができあがっています。

世の中の需要や、他人の背中を追う意味は薄くなって、独自性や個性がそのまま価値につながっていくのです。

僕たちは、親から、学校から、会社から、受けた教育によって、儲かることを最優先に考えなければならないという強い暗示にかかっています。合理性と効率性、費用対効果を最優先に考えることで、すぐれたビジネスパースンになれると教わってきました。

自分が何に興味を持って、何に熱中していたのか、情熱の源泉を忘れてしまっているのです。

誰かの作った枠組みの中で動くのではなく、自分との対話を通して、自分自身が何に熱狂できるかを追求することが必要な時代になると著者は強調しています。

まとめ

本書を読んで、「お金」ではなく、本来の価値が大事な世の中になっていくことが理解できました。しかし、このような世界は、まだまだ先の話で、現実はそうではないと思ってしまう自分もいます。

今まで受けてきた教育や、習慣などもあり、その考えは容易に変えられるものではありません。

今後意識して、何に「価値」があるのかを考えるようにしていきたいと思います。

また、自分が熱中できるものは何なのか、とにかく行動しながら探していきたいと思います。