嫌われる勇気【ブックレビュー】 自己啓発の源流「アドラー」の教え 岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)

岸見 一郎さん, 古賀 史健さん、共著 『嫌われる勇気』を読みました。

すでに一昨年から数回読んでおりましたが、先日岸見さんの講演動画を観る機会があり感銘を受け、再度本書を読み直して、ブックレビューを書いてみたいと思い再読しました。
あなたを理想の人生へと導く知識を学ぶことが出来る ビジネス講座『叡智』

岸見さんは動画の中でアドラー心理学を個人心理学であると解説しています。

個人というのは英語では「 indivisual=わけることができない」という意味です。

つまり、個人心理学とは、意識と無意識や、感情と理性のように、個人を二元論的に考えません。

また岸見さんは、他の誰にも置き換えることができない個人を扱う心理学とも表現しています。

ですからアドラー心理学では個人をタイプに分けることをしません。

岸見さんは他の心理学を学んだときに面白くてよくわかるが、自分について書かれているとは思えなかったといいます

後にアドラー心理学を学んだとき、自分について書かれていると思えたと語っています。

今回、今の僕が気づきを得た言葉について、まとめてみたいと思います。

  • すべての対人関係を横の関係にする
  • 「いま、ここ」に生きる
  • 幸福とは貢献感である

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え 岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著) 【ブックレビュー】

すべての対人関係を横の関係にする

アドラー心理学の特徴的な考え方として「課題の分離」があります。

その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰かを考え、そこに他人は介入することはできないという考え方です。

アドラー心理学では、人をほめてはいけないし、叱ってもいけないと説明します。

人をほめたり、叱ったりすることは、賞罰によって人を操作することを目的としています。

その対人関係は上下関係、すなわち縦の関係になります。

このことは課題を分離せず、人の課題に介入していることになります。

横の関係であるためには、意識の上で対等であること、そして主張すべきは堂々と主張することが大切です。

課題を前に踏みとどまっている人は、能力がないのではなく、「勇気」がくじかれているとアドラー心理学では考えます。

そして「人は自分には価値があると思えたときにだけ、勇気を持てる」というのがアドラーの見解です。

そして人は評価ではなく、感謝の言葉を聞いたとき、自らが他者に貢献できたことを知ります。

他者のことを「行為」のレベルではなく、「存在」のレベルで見ていくのです。

 

「いま、ここ」に生きる

僕は、自分を成長させていきたいという願望があります。

そのために目標を設定し、努力をしたりしています。

このことは、「優越性の追求」という人間の普遍的な欲求であるとアドラー心理学では解説しています。

しかし、人は特別である必要はなく、普通であることの勇気を持つことができたら、世界の見え方は一変すると述べています。

また、人生は連続する刹那であると表現しています。

僕たちは、刹那的に生きることは戒められて育ってきました。

アドラーは、われわれは「いまここ」にしか生きることができない、計画的な人生など不可能なのです、と断言しています。

「いま、ここ」が充実していれば、それでいい、そしてふとまわりを見渡したときに「こんなところまで来ていたのか」と気づかされるのだと。

正しい目標を設定してそれに向かって習慣化して進むことと、このアドラーの言葉をどう折り合いを付ければいいのか、僕はわからなくなってしまいました。

今はどちらも正しいと思っています。

岸見さんに質問する機会があれば、ぜひ聞いてみたいと思います。

幸福とは貢献感である

アドラーは、「人は、自分に価値があると思えたときにだけ、勇気を持てる」と述べています。

他者の評価ではなく、自らの主観によって「わたしは他者に貢献できている」と思えること。

そこではじめて、われわれは自らの価値を実感することができるのです。

他者に貢献するのだという導きの星さえ見失わなければ、迷うことはないし、なにをしてもいいと、述べています。

嫌われる勇気 まとめ

アドラー心理学で教えていることはシンプルでとても理解しやすいものですが、そうであるが故に誤解をされるケースも多いと、岸見さんは動画で述べました。

今回ブックレビューを書いていて感じたことが一つあります。

本書は、終始一貫して「わたしが他者への貢献を感じること」の重要性が繰り返しあらゆる例を用いて書かれていることです。

他者への貢献は他者から承認、評価されるのではなく、わたしが感じるのです。

今この時点で、この感覚を完全に理解したとは思えませんが、何度も繰り返し考えながら、この感覚をつかんでいきたいと思います。