『PwC公式調査でわかった 10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか』 ジョン・スヴィオクラ+ミッチ・コーエン 著 を読んだ。
PwC社とはプライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers)の略で、世界4大会計事務所の一角を占めるコンサルティングファームである。
本書は、そのPwC社の調査チームが2012年のフォーブスの世界長者番付のリストから選んだ120人のビリオネアを調査した結果をまとめている。
相続や縁故によって資産を得た人物は120名の対象から外しており、地域や業種に偏りのないように調整していて、客観的のビリオネアの実体を知ることができる貴重な調査だ。
この調査結果が、今まで発刊されているお金持ちに関する書籍に書かれていることと共通しているのか知りたくてこの本を手に取った。
PwC公式調査でわかった 10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか ジョン・スヴィオクラ+ミッチ・コーエン 著 【ブックレビュー】
ビリオネアにまつわる7つの誤解
ビリオネアは、①若くして、②IT分野で、③ブルーオーシャンを開拓して、④一発あてて、⑤モラルは無視して、⑥一夜にして、⑦天賦の才能をもって、成功したと多くの人は考えがちだ。
しかし、実際のデータでは7つは誤解であることが示されている。
僕が意外に思ったのは③だ。ビリオネアはブルーオーシャンを開拓することによって大きな富を得るきっかけをつかんだと思っていたが、実際は8割のビリオネアはレッドオーシャン市場で成功を収めている。
また④、⑥に関して、一夜にして、一つの事業が莫大な富をもたらす成功を得ているかのように僕たちは考えてしまうが、実際のデータでは、ビリオネア達は長い時間をかけて、複数の事業で資産を構築している。
ビリオネアに共通のマインド(内面)は
今回の調査では、ビリオネアに共通する環境や経験などの外的要因は見つからなかった。
そこで著者はビリオネアに共通するのはその内面(マインド)だと結論づける。
そしてそのビリオネアマインドは、矛盾や対立を包含する思考であるとまとめている。
ビリオネアマインドとは本書では大きく5つを上げている。
5つの中で印象に残った3つについてまとめてみた
最速で動き、ゆっくりと待つ
ビリオネアは見つけたチャンスには全力で動く。
しかし、成功するタイミングまで気長に待つ余裕を持っている。
ビリオネアであっても、成功するタイミングは予測できないのだ。
現在の金銭的損失よりも将来のチャンスを逃すリスクを恐れる
多くの人は失敗するリスクを過大評価し、新たなチャンスをふいにするリスクを過小評価している。
ビリオネアは逆の思考を持っている。
また、ビリオネアは果敢に大きく賭けるが、それと同時に確実な収入源や資金源を用意している。
自分とは正反対の人を仲間にする
ビリオネアは孤高の天才というイメージがあるが、必ず正反対の能力をもった相棒がいるという。
自分と正反対の人物を受け入れ、協力関係を築き上げる力こそ、ビリオネアのもっとも重要な能力だと著者は述べている。
ビリオネアの社長、創業者が目立ちすぎるので、その陰に正反対のパートナーがいることはまったく見えないので、これは初めて知ったことだ。
まとめ
僕たちはとかく一夜にして成功するモデルやノウハウを追い求めがちだ。
仮に成功モデルや成功ノウハウのおかげで一時的に資産を得たとしても、ビリオネアになれる訳ではないということが、この本でわかった。
そしてビリオネアの8割はレッドオーシャン市場で成功を収めているというデータから言えることは、何をやるかではなく、どうやるかが大事だということだ。
また成功するタイミングは誰にも予測できないというのは、重要なポイントだ。
予測できないことには一喜一憂せず、やるべきことをやって気長に待つというマインドが大切だとわかった。
そして正反対の人物を受け入れて協力関係を築く能力は、今までの成功本には出てこなかったマインドだ。