泉忠司著 『ドクロパンダ ボクを探して』を読んだ。
泉忠司さんは、イギリス文学が専門の大学教授であり、億を稼ぐ実業家、50冊の著書を持つ作家、とさまざまな顔を持つマルチタレントだ。
今回泉忠司さんのビジネスに関するセミナーに参加する機会があり、新刊が出るとのことでさっそく手に取った。
僕がこの本を読むにあたって、本の帯に書かれた「違ってたっていいんだよ!」という言葉が意味することはどういうことだろうという問いを持った。
今まで、理路整然とビジネスを語る実業家としての泉忠司さんしか知らなかったが、深みがあって、ほんわかとして泣ける物語であった。
『ドクロパンダ ボクを探して』泣くことができない?
主人公のドクロパンダはクロと呼ばれる人造パンダ。
他の人造パンダとは違って、頭にドクロマークがあって、感性は豊かだが泣くことができない。
クロはそんな自分を欠陥品だと思いつめて、それを直してくれる人を探す旅に出る。
旅先でのさまざまな出会い
クロは行く先々で、いろいろな人たちと出会う。
ロボットの村、おもちゃの村、祈祷師の村、魔法使いの村、疫病の村、・・・。
クロは自分の身がなくなるのをいとわず、出会った人のために全力を尽くしていく。
自分が他のパンダと違う訳を知る
最終的にはクロは自分を作った博士から、なぜ自分だけが他のパンダと違うのかを知らされる。
そして自分が欠陥品ではなかったこと、これからの自分の役割に気付くのだ。
まとめ
この本は、自分の価値は何か、を気付かせてくれる本だ。
クロは自分が他のパンダと違うという理由で、自分を欠陥品と思い詰めた。
そして完全なパンダになるための旅を始めた。
最終的には自分が欠陥品だという意識があったからこそ、旅に出ることができ、多くの友を得ることができた。
人と違うことは、その反面には人と違うことを成し遂げるパワーがあることを示している。
また、欠陥品であるかどうかは自分が決めることではなく、周りが決めることなのだ。
クロはパンダ達の中にいるときは周りから欠陥品と言われ続けて、自分は欠陥品だと思い込んだ。
しかし旅に出てからはクロのことを欠陥品という人はいなかった。
最終的にクロは自分は欠陥品ではない、と自分の存在を認めることができた。
環境を変えれば自分も変わるのだ。
読みやすく引き込まれる物語であり、示唆に富む本だ。