ポジティブ心理学を今まで誤解していました。
ボジティブシンキングと混同していたからです。
うつや精神疾患など、ネガティブな心理状態を扱うのではなく、正常でポジティブな人をよりよい心理状態(=well being)にするための心理学がボジティブ心理学なのです。
ぼくが混同していたポジティブシンキングは、ネガティブをポジティブに置き換える考え方ですが、ポジティブ心理学では、ネガティブな考えもありのまま許容していいのです。
日本人は不安を感じやすい遺伝子を持つと言われています。
本書を読んで、ポジティブ心理学、そして著者が独自に提唱している「幸福学」は、日本人にとって特に大切な心理学だと確信しました。
幸せは結果ではなく原因である
努力して成功した結果として、幸せになるというのが、今までのぼくたちの自然な感覚です。
しかし、ポジティブ心理学では、この関係は逆であると結論づけています。
幸せは成功に先行するのです。
成功したければ、まず幸せな心を持ちなさいということです。
レジリエンスの高め方
レジリエンスは、ポジティブ心理学の中で中心的な概念です。
金属の棒に例えると、ストレスを加えても、柔軟で折れにくく、もとに戻りやすい性質です。
メンタルは、強さではなく、柔軟さ、しなやかさが必要なのです。
ヨーロッパのポジティブ心理学の第一人者である、イローナ・ボニウェル氏は、認知行動療法にもとづいたレジリエンスを高める方法として、SPARKレジリエンスを提唱しています。
出来事 (Situation)に対する、とらえ方(Perception)を変えることで、不安、恐れの感情 (Autopilot)と反応 (Reaction)を学習(Kowledge)で変えていく手法です。
7つの思い込みオウムという、人が陥りやすい思考のクセの分類が興味深いです。
7つのオウムとは、批判、正義、負け、心配、謝り、あきらめ、無関心です。
幸せの因子分析
著者の前野隆司氏は、幸せに影響する要因を、因子分析という数学的手法を用いて分類しました。
幸せに影響する要因をピックアップする際に、自分自身ではコントロールできない、身体的、環境的要因を省いているだけでなく、地位財を除いているというところが、とても興味を引きました。
地位財とは、お金、地位など、他者との相対的な尺度で測られるものです。
例えば、収入の多さは、ある一定程度を超えると、幸福度には影響しないことがわかっています。
幸せの4因子
幸せに影響する因子をたった4つに、しかもすぐに覚えられるフレーズでまとめられていることがすばらしいです。
日本人のアンケートにもとづいた結果なので、日本人にあった幸せの因子になります。
以下にそのまま書きます。
- やってみよう(自己実現と成長)
- ありがとう (つながりと感謝)
- なんとかなる (前向きと楽観)
- ありのままに (独立とあなたらしさ)
この4つがすべて高い人の幸福度が高く、アンケートでは20%くらいだったそうです。
また1と2だけが高い人は、3と4だけが高い人より、幸福度が高いというのは興味深いです。
ぼくは、原田メソッドを実践している影響で、2020年1月に幸福度の評価を行いました。
本書にも引用されている「Dienerによる人生満足尺度(SWLS)」を使用しました。
1,3,4が平均より高く、2が平均並みでした。
もともと3,4は素養として持っていましたが、1は原田メソッドの実践でかなり高まりました。
幸せのエクササイズ
幸せは結果ではなく原因です。
だから、幸せの4因子を高めるエクササイズは、成功のために効果的なはずです。
ポジティブ心理学の創設者である、マーティン・セリグマンが提唱しているエクササイズは、「Three good things」です。
その日にあったよかったことを3行書くというものです。
セリグマン氏は、「Three good things」をうつ病の人に試しましたた。
すると、一週間続けるだけで、その後半年間にわたって患者の幸福度が向上するという驚くべき結果が得られました。
原田メソッドでは、今日のよかったことと、今日をもう一度やり直せるなら、という2項目を毎日日誌に書きます。
これは「Three good things」の効果があると同時に、失敗やイヤなことをポジティブに変換してその日を終えることができます。
ピーク・エンドの法則によると、苦痛や快楽の評価は、そのピークとエンドで決まり、その期間は無視されるそうです。
つまり、夜寝る前に、今日のよかったことを書くことで、エンドがよくなり、幸福度が上がるのです。
まとめ
幸せとは、成功の結果ではなく、原因です。
ポジティブ心理学と幸福学は、幸せな心を持つための具体的な考え方、エクササイズを示してくれています。
原田メソッドを使うこと、日誌を毎日書くことが、幸福度を高めることにつながっていることがわかりました。
ぼくは、つながりと感謝の因子が、他の因子に比べて低いので、日頃から感謝を忘れないようにクセづけしていこうと思います。