「不安」を解消するのに、「運動」が役に立つことを、本書を読んで再認識しました。
著者のジョン・レイティ氏は、精神科医で、うつやパニック障害が、運動によって、薬と同等のレベルで改善することを、様々な臨床データをもとに解説しています。
そしてこのように述べています。
運動は頭をよくするだけではない、ストレスと不安に立ち向かう力を与えてくれるのだ
新型コロナウィルスの影響で、「不安」を感じる人が多くなっていると思います。
ぼくもその一人です。
そのうえ、外出自粛によって、体を動かしたり、日光に当たったりする機会が減り、ますますメンタルが落ち込む要因が増えています。
本書を読んで、ぼくは、朝のジョギングの距離を2kmから5kmに伸ばし、家の中で「タバタ式」トレーニングを行うようになりました。
まだ数日ですが、そのおかげで、落ち着いて、前向きに物事に対処できていると感じています。
「不安」のメカニズムとは
「不安」は、脅威に対するごく自然な反応であると、著者は進化論的立場に立って、説明しています。
人間の体は、何万年もの間、狩猟採集生活に最適化されて進化して来ました。
脅威に対する反応が、様々な要因によって、止められなくなってしまい、普通の行動が取れなくなるのが「不安障害」です。
アメリカには4,000万人、全人口の18%もいるそうです。
アメリカ人は、日本人に比べて、ポジティブな人種だという印象がありますが、この数字は意外です。
人間は、脅威を感じたとき、扁桃体が興奮します。
扁桃体が興奮すると、鼓動の高まりや、発汗、などの反応が起こり、それを読み取って「恐怖」という感情が湧き上がります。
脅威が去ったあと、扁桃体に停止信号を送る機能が、前頭前野にあります。
「不安障害」では、この前頭前野の機能が低下していて、常に脅威を感じる状態になります。
「運動」は不安障害に対して薬と同等の効果がある
著者は、1997年に発表された、パニック障害を持つ患者に対しての、無作為コントロール試験の結果から、「運動」が抗不安薬と同等の効果を持つことを解説しました。
10週間の経過観察で、薬のみで治療した群と、「運動」のみを行った群では、治療効果は同等だったという結果が出たのです。
「運動」は、BDNFという物質を増やすことで、薬と同等のレベルで、セロトニン働きを活性化させるのです。
どのくらいの「運動」がいいのか
本章で、著者は、それぞれの研究を紹介しているだけで、どれくらいの「運動」が、「不安」に対して有効なのかを明確に述べていません。
うつと「運動」について数多くの書籍を出版している、精神科医の樺沢紫苑氏の『人生うまくいく人の感情リセット術』 を参考にしてみました。
樺沢紫苑氏は本書で、ストレス耐性を高める「運動」とは、
「いろいろなデータを平均すると、1回1時間以上の中強度の有酸素運動を週2回以上」
と述べています。
中強度の有酸素「運動」とは、気持ちよい汗が流れるくらいの運動強度、だそうです。
気持ちよく走れるスピードでのジョギング、水泳、ジムでのエアロビクスなどが該当します。
ポイントは、1回1時間以上、週2回以上です。
ぼくは、週2回だと習慣化しづらいので、1時間には満たないですが、毎朝30分はジョギングするようにしています。
それに加えて、最近、高強度の運動として4分間の「タバタ式」トレーニングを加えました。
まとめ
「運動」は「不安」に対して、薬と同等の効果を持つ、強力な治療であることがわかりました。
ぼくの場合、さいわいに、「不安」の度合いは、病気と診断されるほどではありません。
「運動」によって、この先行き不透明な時代を、平常心で乗り切っていこうと思います。