下條信輔氏 2019年講演会 『機械は人間を超えるか?』を聞いてきた

2019年4月19日、自然科学書協会主催、認知神経科学者の下條信輔氏の講演会「機械は人間を超えるか?」 を聞いてきました。

下條信輔さんのことを、不思議研究所の森田健さんのブログで知りました。

下條信輔さんが、自由意思とは幻想であるとの仮説を主張していることに大変興味を持ちました。

そしてネットで下條信輔さんのことを検索したところ、この講演会の情報を知って申し込みました。

今回はAIの進化に伴い人間との関係はどうなるかという、興味深い話でした。

ところどころに自由意思や人間の意識とは何かという話も出てきて、興味深くあっという間の80分の講演でした。

下條信輔 2019講演会

機械の進化は止まらない

一度進化した技術は後戻りはしないということを、下條信輔氏はタマネギの皮のように一度めくれたらもう元に戻らないと例えました。

例えば現代において、計算をするとき、電卓を使わないで手で計算をしようとは誰も思いません。

計算から始まった機械化は、どんどん進化していて、タマネギの皮はどんどんめくれています。

そしてその皮は10-15年ごとに生まれる新たな技術、ディープラーニング、チューリングマシン、ニューラルネットワークなどによってどんどんめくられていっていると下條信輔氏は解説しました。

2045年にシンギュラリティが起こると言われていますが、ある特定の分野ではAIはすでに人の能力を上回っています。

すでに囲碁、将棋、チェスなどでは、AIが勝利を収めており、ボザンナ新手と呼ばれるような、AIが生み出した新手を棋士が使うというような事態まで起こっています。

AIの進化はブラックボックス化する

AIは以前は人のやり方をまねるエキスパートシステムを採用していましたが、それを捨てました。

現在は、AI同士が無数の対戦を繰り返して学習していくという自律型のシステムを採用しています。

そのような学習からAIが生み出した解決方法は、人間には理解ができないものになっています。

そしてAIが生み出した方法の裏をかく手法として、敵対的競合という手法が出てきています。

敵対的競合もAIによって生み出される手法です。

AIの画像認識で、誰が見てもパンダに見える画像に、あるノイズを加えると、テナガザルと判断してしまうのです。

人間より正しく画像認識するシステムに、それに敵対するノイズを加えることで、人間が見たらあり得ないようなエラーを起こしてしまうのです。

機械の事故の責任は誰が負うのか

今後AIが実社会に普及していくと、自動運転車やAIが起こした事故の責任は誰が負うのかという問題が出てきます。

下條信輔氏は、責任という概念は、法体系によって生まれた比較的新しい概念であると述べました。

責任の前提は自由意志による行為(自発的行為)があったかどうかです。

この自由意思と責任の関係はぼくたちには自然に理解できる関係です。

しかし、自由意志とは哲学的にも神経科学的にも実は明らかになっていないと下條信輔氏は力説しました。

意識とは

講演は意識とは何かという話題に及んでいきます。

意識とは、心理学的には言語化できるものと定義されています。

しかし、意識とはいまだ正体がわからない、脳内にあるかどうかもわからないと下條信輔氏は述べました。

例えば、自由意思と思って行った行動と、反射行動の間には、神経科学的にはほとんど差がないそうです。

自由意思とは後づけで再構成したものと言えるかもしれないのです。

このあたりになるとぼくの中で思考が混乱してきて、今これを書いている最中もわからないことだらけになっています。

これから下條信輔氏の著書をじっくりと読んでみたいと思います。

まとめ

本講演でディープラーニングとはどういうものなのか、AIの進化の実態と今後予想されることについて知ることができました。

またさらに、人間の意識とは何かについて深く考えさせられました。

まずは下條信輔氏の著書を読み、また機会があれば講演会に参加したいと強く思いました。