『気になる脂質早わかり』女子栄養大学出版部 川端 輝江 (監修)を読みました。
糖質制限を実践する場合、脂質、タンパク質でカロリーの80%以上を取ることになります。
そのため脂質のことも詳しく知っておく必要があると思い、本書を手に取りました。
特に脂質には様々な名称があって混乱しやすいため、系統的に理解しておきたいと思いました。
本書は脂質の分類が視覚的にわかりやすく解説されていて、様々な脂質の名称を整理することができました。
また、食品別に脂質の種類と含有量が書かれているので、食事と紐づけて理解が進みます。
自分なりに整理できた内容をまとめます。
『気になる脂質 早わかり』脂質とは
脂質とはざっくり言えば、水に溶けない物質です。
ぼくたちが食品から採っている脂質の種類は、主に3種で、中性脂肪、コレステロール、リン脂質(レシチン)です。
そのほとんどを占めるのが中性脂肪になります。
中性脂肪を構成するのが脂肪酸で、40種類近くもあります。
脂肪酸の種類
脂肪酸とは炭素原子(C)の手に水素原子(H)がついたものが鎖状につながって、端に酸素原子(O)と(OH)がついた分子です。
高校の化学で習った知識がよみがえりました。
C同士が一重結合のみでつながっている脂肪酸を飽和脂肪酸と呼び、二重結合がある脂肪酸を不飽和脂肪酸と呼びます。
二重結合が1箇所ある脂肪酸が1価脂肪酸、2個以上の二重結合がある脂肪酸を多価脂肪酸と呼びます。
飽和脂肪酸は主に動物性脂肪に多く含まれており、常温では固形です。
不飽和脂肪酸は主に植物性脂肪に多く含まれており、常温では液体です。
ω3,ω6とは
ω3の油が体にいいとよく聞きます。
ω3とは脂肪酸の左から数えて3番目に二重結合があるという意味になります。
ω6とは6番目に二重結合があるということです。
二重結合があるということは、不飽和脂肪酸です。
ω3、ω6は、それぞれn-3系、n-6系ともいいます。
ω3の代表的な脂肪酸は、αリノレン酸で、ω6の代表的な脂肪酸はリノール酸です。
2つとも体内で合成できないため、食事から摂取しなければならず、必須脂肪酸と呼ばれます。
ω6のリノール酸は現代人は取りすぎが問題視されていますが、ω3については心血管疾患、脳卒中の予防効果があり、摂取が推奨されています。
あまに油、えごま油には60%近くのαリノレン酸が含まれています。
中鎖脂肪酸とは
脂肪酸は炭素原子が鎖状につながったものですが、炭素の数によっても分類されます。
本書では、6個以下が短鎖、8〜10個が中鎖、12以上が長鎖と呼んでいます。
最近MCTオイルという名前をよく耳にします。MCTの略は(Medium Chain Triglycerides)で中鎖脂肪酸を含む脂質のことです。
ココナッツオイルやパーム油、牛乳、母乳に多く含まれています。
中鎖脂肪酸が注目を浴びているのは、消化吸収が速く、短時間でエネルギーを得られて、蓄積しにくいからです。
またケトン体を生成するため、てんかんの治療に有用で、今後認知症やパーキンソン病への効果も期待されています。
トランス脂肪酸とは
炭素の二重結合の立体構造には、シス型とトランス型があります。
マーガリンのような硬化油を工業的に生成するときに、トランス型の二重結合が産生されます。
悪玉コレステロール値を上昇させ、心疾患の原因になるといわれており、摂取しすぎないように注意が必要です。
まとめ
脂肪酸には様々な分類があり、今注目されている、ω3、中鎖脂肪酸(MCT)の位置づけと、それが含まれている食品を知ることができました。
このあと、脂質の体内での消化、代謝について、関連書籍を読んでさらに糖質制限に必要な知識を深めていこうと思います。