『製造業が日本を滅ぼす』 【レビュー】やはり産業構造の変革が必要とわかった

野口 悠紀雄 (著) 『製造業が日本を滅ぼす』を読みました。

野口悠紀雄氏は、日本においては、現在の製造業の垂直統合型のビジネスモデルは誤っていると断言しています。

製造業は日本でモノをつくって輸出するよりも、製造を海外に委託したり、海外に移転した現地法人の利益を適切に活用することで豊かになれるのです。

本書を読んで新たに知ることができた3つの点をまとめます。

対中国輸出はどうなるのか

今や日本にとって中国は最大の貿易相手国です。

しかしその額は減少傾向にあります。

その原因は、中国が輸入を減らしたのではなく、日本以外から輸入するようになったからです。

日本からの輸入が減った代わりに、インド、マレーシアからの中国への輸入が増えています。

今まで対中国輸出として多かった、化学製品、原材料は、エネルギー多用型産業であり、電力不足のため今後伸びるのは難しい状況になっています。

また電気機器については、労働集約型の産業であり、これも今後の成長は期待できません。

また対中国輸出は、利益をもたらすのかという疑問もあります。

中国の内需緩和策による、不動産バブルの先行きも見えないことから、今後の見通しは不透明と言わざるを得ません。

電力問題のリスクに対応する方策は

製造業はサービス産業の3.5倍もの電力を消費します。

震災の影響、そしてエネルギー価格、特にLNG価格の上昇により、電力料金は上昇しています。

この問題に対処するには、電気を間接的に輸入する方法があります。

それは、外国の電力でつくった製品を輸入することです。

アメリカ、イギリスはすでにそのような産業構造に移行しています。

関税は貿易に影響を与えるのか

現代世界の貿易は、関税以外の要因によって大きく影響されると野口氏は解説します。

その要因とは以下の3つです。

  1. 新興国の価格競争力と成長
  2. 変動為替制
  3. 資本自由化

日本は中国、インドとはFTAもEPAも結んでいませんが、中国、インドの高い成長により輸出額は伸びてきました。

アメリカは中国と貿易協定を結んでいませんが、アメリカの対中国輸入額の伸びはNAFTA加盟国を圧倒しています。

つまり、相手国の経済成長率が関税の影響を上回るのです。

加えて為替レートも関税の影響を上回ると言われています。

3つ目の資本の自由化とは、生産拠点の移転です。

タイは様々な国とFTAを結んでいるので、日本企業はタイに工場を集中させています。

このように、自国がTPPに加盟したりFTAを結ぶことだけでなく、他国の非課税メリットを利用するという方法があるのです。

まとめ

野口悠紀雄氏は、数多くの著書の中で、一貫して、日本は産業構造を変えるべきと主張し続けています。

日本国内に製造業を延命させていくことは、日本の利益を圧迫していきます。

日本は経常収支黒字の金持ち国です。

その資本を有効に活かす産業構造へ早急に変わっていくべきです。

そのためには、規制緩和と人材開国が避けては通れない道です。