炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】レビュー 穀物に頼らない将来に期待することができた

夏井睦氏はキズは消毒しないという湿潤治療の創始者であり、糖質セイゲニストとして知られています。

前著『炭水化物が人類を滅ぼす』では糖質制限食を人類史からひもとくユニークな説を展開しました。

その夏井睦氏の続編『炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】 植物vs.ヒトの全人類史 』を読みました。

夏井氏の前著『炭水化物が人類を滅ぼす』では、高血糖は脳内で麻薬と同じ報酬回路が働くという説に衝撃を受けました。

本書でも生物史、人類史の視点から、大胆かつ説得力のある説が多岐にわたって展開されました。

印象に残った3点を紹介します。

1果糖ぶどう糖液糖の危険性

果糖は小腸から吸収されると肝臓で分解されます。

果糖は血管内に入ると有毒なため、アルコールと同様に肝臓で分解されるのです。

酔っ払わないアルコールと呼ばれることもあります。

果糖の接種が過剰になると、脂肪酸とコレステロールに変換され肥満の原因になります。

また果糖の過剰接種はTAGE(Toxic AGE、毒性の強い糖化終末産物)を発生させ、大変危険です。

現代の食生活は、知らず知らずのうちにこの果糖を多量に摂取してしまっています。

トウモロコシやじゃがいものデンプンを酵素で分解すると、ブドウ糖と果糖の混合液が得られます。

果糖ぶどう糖液糖とは果糖の方が50%以上ある液糖のことです。

これは強い甘味を持ち、安価に製造できるため、甘味をを必要とする多くの食品に使われています。

果糖とは果物の糖と書くため安全なイメージがありますが、これほど危険なものとは知りませんでした。

これから購入しようとする食品の果糖ぶどう糖液糖の記載には充分注意していきたいです。

2 高血糖にA10神経が反応する理由

A10神経とはドーパミンを産生する神経回路です。

高血糖になるとA10神経が反応してドーパミンを出し、強い報酬を脳にもたらします。

正常範囲の血糖ではA10神経は反応しないのに、なぜ高血糖だけに反応するのでしょう。

夏井氏はこの問いに対して、もともと血糖値は恒常性が保たれているからだと説明します。恒常性は血糖だけでなく、体温、血圧、血液の浸透圧、pHなどでも保たれています。

恒常性の保たれているものには、A10神経は反応しません。

ところが700万年間一定に保たれていた血糖値が、1万年前に加熱デンプンを初めて食べたとき、通常の倍の上昇となりました。

それにA10神経が反応してドーパミンを分泌し、このとき、加熱デンプンは依存性・中毒性物質第1号となったのです。

それ以降の中毒性物質は、同じく穀物から産生された紀元前3000年のビール(エチルアルコール)、紀元前3世紀のお茶(カフェイン)、16世紀のタバコ(ニコチン)と続き、19世紀になってコカインとエフェドリンが抽出されました。

加熱デンプンがもたらす高血糖は、中毒物質であるにもかかわらず、容易に摂取できる世の中になっていて、A10神経は休む間もなくドーパミンを分泌し続けています。

3 ヒトは糖質を食べるように進化できるのか

700万年の人類の進化から比べるとごく短い間ですが、ヒトは1万年間糖質を摂取し続けてきました。

ヒトはその変化に適応しているのではないかと考えてもおかしくはないでしょう。

実際に、消化管は糖質の摂取に適した進化を起こしているそうです。

しかし、ヒトのインスリンの分泌能は何ら変わっていませんし、血糖を下げるホルモンがインスリン1種類しかないことも、まったく変わっていません。

ホルモンの分泌能まで変わるには、1万年という年月でも短すぎるようです。

まとめ

本書の後半では、今後の人類の食料源として、昆虫の可能性が語られています。

昆虫は変温動物なので、恒温動物ほどのエネルギーを必要としないし、飼育のための餌はヒトと競合しないので理想的とのことです。

アリをとってみても、現在の人類と同じだけの体重分が生息しているそうです。

すでにアメリカではスタミナ食としてコオロギの飼育が行われています。

地球の全人類が穀物に頼らない食生活をすることができれば、病気のないすばらしい世界が訪れると思います。

これはとてもワクワクする未来です。